「ボード屋さん!
こんなんじゃクロス貼れねえよ!」
何度これを言われたことか
言われるたびに私は謝り
貼ったボード屋さんを呼びつけ
直してもらう
こんな事を どこの現場でも
何度も何度も繰り返す
私のスマホはよく鳴るんです
はぁ…またクロス屋さんだ…
今度はなんだろう…
もういい加減ウンザリですよ…
このように思っているボード屋さん
かなり多いはず
なぜ我々ボード屋は
こんなにクロス屋さんにイジメられるのか
理由はとてもシンプル
我々ボード屋は「下地」
クロス屋さんは「仕上げ」だからです
我々の作った下地が悪ければ
当然クロス屋さんの作業は
下地の影響を受けて
とてもいい仕上がりとは呼べない物が
できあがってしまう
あまりにもひどい下地を渡してしまえば
怒りの呼び出しを受ける事になります
でも こう考えてほしい
あれは文句ではなく
クロス屋さんの悲鳴なのでは?
我々ボード屋も
適当な下地を渡されれば
ボードが貼りにくい
ほしいところに下地がなかったり
勝手にズラされたら文句を言いたくなります
収まっていない配管やBoxがあれば
悲鳴をあげたくなります
「こんなんじゃボード貼れねえよ!」
あれ…なんか聞き覚えがありませんか?
私たちも同じ事を感じて
前業者さんに手直しをしてもらい
ボードを貼ってきました
それが今度は
クロス屋さんの番になったんです
これは
クロス屋さんを守るための話であり
ボード屋さんを救うための話です
ほんの少し理解を深め
次に渡す意識を共有することで
無駄な手直しや
現場全体のロスを
少しでも減らしたい
私もボード屋です
自分に言い聞かせる気持ちで
言葉にしていきたいと思います
上に書いたように
同じプロセスで似た立ち位置に置かれる
ボード屋さん クロス屋さん
明確な違いがあります
ボードは隠すのが仕事
クロスは見せるのが仕事
ボードに隠れる部分の事を
隠蔽部(いんぺいぶ)と呼びます
つまり我々ボード屋の仕事は
隠蔽したい場所の入れ物を作る事
クロス屋さんはその反対側
見える方側を作るのが仕事
施工に求められる基準がそもそも違うんです
違う言い方をすると
ボードは収まればOK
クロスは出てたら全部NG
我々ボード屋は
材料の厚みの範囲内に収まりさえすれば
全て隠してしまえます
壁の形を変えたり
貼る材料の厚みを調整して
収まるところまで出したり
引っ込めたりもできます
対してクロス屋さんの材料は
あんなに折りたためるほど薄いもの
その材料を使って
我々が作った壁や天井にそのまま依存する形で
仕上げという最終的な責任を
負う立場にあります
その下地に
明らかに我々の不手際で出てしまった
凹凸やスキマがあったら
クロス屋さんが怒りたくなるのも
不思議ではないと思います
しかし現実問題として
工程が短い現場では
雑にならざるを得ないケースもあります
あっちもこっちも
同時に進めないといけない日なんて
後の業者のことまで
気にしている余裕はありません
私だって
当日完了予定の大エリアをやる日は
死にものぐるいです
多少の雑さを
気にしている場合ではない
めっちゃわかります
それでも
どのくらいまでなら
許容してもらえるのかという事を
私は頭のどこかには残しておきたい
次に渡す相手がいる事は
ちゃんと意識しておきたいんです
ビスは出さない
コーナーは歪めない
ハット目地はぴったり
ここだけ気を使って作業するだけでも
次の人たちは相当楽になります
そして結局は自分たちも楽になるんです
だけど
クロス屋さんにわかってほしい事もあります
我々ボード屋の仕事は
部分的にではありますが
どうしても手直しが発生する事もあります
スイッチコンセントや
天井器具の位置変更
下地位置の変更
それに伴う解体復旧作業は
どうしても避けられません
そういった作業で出てしまった段差やスキマは
どうしてもクロス屋さんの求める精度に
できない場合があります
「これなら面倒見てやるか」と
思ってもらえるくらいにはしたいのですが
中々難しいのが現実です
ボード屋さんへ
これだけは知っておいてほしいところを
いくつか書かせてください
ボンドコークで
入隅やジョイントをベッタリ埋めること
ボードのパンクを叩いて
無理矢理平らにすること
クロス屋さんに良かれと思って
これをやっている方が多いのですが
知っていましたか?
クロス屋さんは
これらをカッターで削ぎ落とさないと
仕上げられないんです
パンクはいずれ必ず
クラックになって現れます
カッターで大穴を開けた後に
パテで処理しているクロス屋さんを
時々見かけます
このパンクを叩いて平らにする処理を
クロス屋さんが気にならない精度で
できてしまうボード屋さんがかなり多い
ボンドコークについてですが
本来なら我々が使っていい品物ではないんです
あくまでも仕上げを補助する役割で使うもので
我々がスキマを隠すために使うものではないんです
知らずにやってしまっていた時期が
私にもありました
なんなら「よっしゃ綺麗!」
くらいに思っていました
気を使ってやっていたつもりが
一手間増やす結果になってしまうのは
不毛すぎませんか
だったら
次にそこを触る人が
そのまま作業に入れる状態にしておく
それだけで結果的に
現場はうまく回ると思います
色々と強い言葉を並べましたが
結局のところ
ボードとクロスの間にあるべきなのは
ほんの少しの「意識」だと
私は思います
我々ボード屋が作る下地がなければ
クロス屋さんの仕事は成立しません
そしてクロス屋さんの仕上げがあるから
我々の仕事も形として完成します
だからこそ
どこまでやれば次の人が困らないのか
そこだけは外さないようにしたい
それだけで無駄な手直しは
驚くほど減っていくはずなんです
お互いの仕事を少しでも楽にできるのなら
お互いの仕事を少しでも良い形に残せるなら
私はそういう仕事をしていきたいと思います



コメント