言葉の通じない相棒 中編

外国人研修生

ベトナム人研修生3人がうちの会社に来て

1ヶ月が経ちました

基本的なボード貼りの手順

測る 切る 貼る

この辺は一通りできるようになりました

効率のいい作業の仕方

無駄のない材料の使い方

このあたりをこれから磨いていく段階に入っていきます

この日は研修生を3人とも私が預かり

現場に来ていました

トゥンくん

1番日本語が上手く

仕事に対する理解も早い子です

タンくん

作業スピードの成長が見えてきて

この時点で1番早いのが彼です

チュンくん

3人の中で1番日本人と仲が良く

可愛がられるタイプ

3人には横並びの全く同じ作りの部屋に

1人ずつ入ってもらいました

朝の段取りを終えた後

3人に集まってもらい

今日の作業の説明を始めました

界壁ボード貼り(S12WI)

グラスウールの入る耐火遮音壁です

これまで何度もやってもらった事のある作業

使う材料のおさらいと

気をつけてほしいポイントだけ伝えます

3人が同時にスタートした事を見届けて

私は違う部屋に入って自分の段取りを開始しました

3人とも作業の仕方に個性が出てきました

誰がどう進めるのか

どういう差がつくのか

昼頃にはこのくらいの景色になってるだろうな

と頭の中で並べながら

私も自分の作業に集中する事にしました

10時

私は休憩を伝えにいくために

3人の部屋に順番に声をかけにいきました

トゥンくんは

1枚目のボードを半分以上貼り終わり

最後の1列に取り掛かるところ

タンくんは既に作業台を用意して

最後の1列をまさに加工し始めたところでした

チュンくんは真ん中の列の半分程のところを

貼っていました

手元は忙しく動いていますが

一つ一つの動きに迷いが見えました

あれ 思ったよりもチュンくんが遅れてるな

ボードの枚数にして数枚程度の差でした

作業効率でまだ持ち直せる範囲内

厳しく指導をする場面ではないと判断し 

私「こことここ 同時に加工できますよ

  次はこことここ 同時に加工できます」 

壁を指差しながら

翻訳アプリを使ってアドバイスをしました

休憩中も 1枚加工して貼っていく事と

2枚3枚同時に加工して貼っていく事の

スピードの違いを説明して

チュンくんの遅れを取り返す方法を

一緒に考えました

大丈夫 まだ何とかなる

そう思っていたんです

12時前

お昼休憩の前にもう一度

3人に声をかけると同時に

進捗状況の確認をしに行きます

トゥンくんとタンくんは

一層目のボードと四周処理を完了

二層目のボードも半分近く貼っていました

チュンくんはというと

まだ一層目のボードを貼っています

他の2人との差は思ったよりも大きく開き

私のイメージからもかなり外れていました

丁寧な仕事はしているものの

ここまで施工スピードに差が出ると

私は作業以外の部分が少し気になってきました

結局この日

チュンくんだけが一つの壁を終える事なく

そのまま終業時刻を迎えてしましました

帰りの車の中

いつも賑やかなチュンくんの声が

聞こえてこないのがとても心配になりました

バックミラーに映るチュンくんは

窓の外を見ていました

彼らの宿舎に到着しました

私は他の2人を見送り

チュンくんだけ残ってもらいました

私「チュンくんどうしました?

  元気がないですね 心配です」

チュン「わたしは 遅いです

    もっと 早い ほしいです」

(もっと早く仕事ができるようになりたい)

実はチュンくんの技術的な遅れの原因は

私にあるのだと思っているんです

日本人たちとの間にあった壁をなくす為

あえて仕事以外の部分を

優先した時期がありましたその

時の話は前編で書いています

その結果として

技術の習得に差が出てしまったのは

紛れもない事実でした

私は自分の判断を振り返り

あの時優先させた事は

間違っていたのではないかと

少し悔やみました

同じ作業を重点的に指導する事もできました

なんとか励まして

今の作業をもう少し磨くべきだとも思いました

だけど 明日もまた

同じ気持ちにさせてしまう事は避けたかった なんとか違う形で

気持ちを上向かせてあげたかったんです

考えて

決めました

私「よしチュンくん 明日天井貼ろう」

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