スライディングウォール
という品物をご存じでしょうか?
可動式間仕切りとも呼ばれるもので
広げて壁のように使う事もできれば
折りたたんで端に寄せておく事もできる
空間の使い方を自由に調整できる
便利な屋内設備の一つです
ただ こういった動きのある部分には
共通して現れる現象があるんです
窓や扉の廻りと同じように
日常の中で動きが繰り返される場所では
いわゆるクラックと呼ばれる
ヒビ割れが発生する事があります
もちろん全部が割れてしまう訳ではありません
仮にクラックが入ったとしても
適切に補強や補修を施せば
殆どのケースは問題なく解消できます
しかしこのスライディングウォール
窓や建具と比べてクラックの発生率が
非常に高い
今日は
引き渡し後の物件での定期点検で
補修対象となったスライディングウォール周辺
その原因や構造的な解説
対処法のアイディアなどを共有したいと思います
スライディングウォールは
床と天井にレールを設けて
そのレール内をスライドして移動する構造上
強い振動が床と天井に伝わります
移動時に斜めにつかえたりした際には
天井と床に引っ張り合うような力がかかり
どんなに補強していたとしても
クラックが発生する原因となってしまいます
物件引き渡し後の定期点検などで
補修が発生する頻度においては
スライディングウォール周辺のケースが
窓廻りや建具廻りよりも
明らかに多い割合を占めます
実際の写真がこちらです

※以下の画像は全て居住者様に許可を頂いて
撮影・添付をしています
このクラックは
レールの土台となる木製の補強材と
天井石膏ボードとの境目が一直線に割れており
構造的な揺れの違いが伺えます
天井レベルが真っ直ぐに固定されているのに対し
スライディングウォールのレールに
引っ張られる力が加わる事によって
天井ボードとレールの境目に負荷がかかり
割れてしまった という状況です
更に
こちらの画像は2年点検時のものになりますが
一年点検の際にも同じクラックの補修を行い
2ヶ月持たずに同じクラックが発生したそうです
以上の事を踏まえて
同じように補修をしても
また同じ症状が出ると判断しました
それならいっそのこと
わざと切り離す事で力の逃げ道を作り
「ハット目地」を入れて仕上げてみます

このように取り付けるための溝を
予め作っておいて
そこに被せるように取り付けます
取り付けるための溝の幅 10mm
ハット目地の目地幅3mm 深さ5mm
ちなみに断面が帽子のような形をしているので
ハット目地という名前らしいです
こうする事で動く部分と動かない部分の
「縁が切れる」状態を作り
割れる前に割った状態にする事で
クラック防止の措置とします

まずハット目地を取り付けるための溝を作ります
前回の補修の時に施工したと思われる
ファイバーテープが出てきました
ここまでやって割れるのならやはり
同じように補修をしても
いずれまたクラックとして表に現れるはず

更に溝を延長してレール沿いをぐるっと囲います
これでレールとボードの境目を
完全に切り離した状態になりました

このようにハット目地を取り付けて
パテで段差を潰してクロスを貼れば
「縁切りハット目地仕上げ」の完成です
非常に残念な事に私はこの後
別の補修作業があったため
クロス屋さんの作業に立ち会えず
仕上がりの写真が撮れませんでした
既にお住まいのお宅にお邪魔して
作業をする独特の緊張感や
失敗する訳にはいかないプレッシャーは
いつまでたっても慣れませんね
「丁寧にやってくれてありがとうございます」
というお言葉と共にお水の差し入れを
いただきました

居住者様にご満足いただけた時の
なんとも言い難い達成感と
このように労っていただける有り難さ
職人冥利に尽きるというものですね
こういったケースのように
時間をかけないと現れない不具合や
経年劣化等で出てくる補修作業も
我々にとっては有り難い仕事の一つ
今後も丁寧に全力で向き合っていきます
そしてまた
工夫次第で原因ごと解消できそうなケースが
提案できそうな時には
またこのブログを通して
皆様に共有したいと思います
本日も ご安全に



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