「いつもと違う」を見逃すな

施工トラブル・不具合対応

建設現場で作業をしていると ごく稀に

「いつもと違う」と感じる瞬間があります

私はボード屋です

石膏ボードという材料は

本来非常に品質が安定した製品です

その反面「いつもと違う」と感じる時

その違和感は かなり顕著に現れます

・ボード内部に大きな気泡がある

・部分的に異様に硬い箇所がある

・石膏部分が全体的にスカスカ

・異物が混入している

・裏表の紙が剥離している

・シワの寄った紙が貼られている

こういった違和感は

触った瞬間

ビスを打った瞬間

切断して断面を見た瞬間

はっきりと伝わってきます

1枚だけならたまたまかもしれない

しかし

同じ違和感を1日に何度も感じたら

仲間たちからも同じ報告が上がってきたら

その状況をどう判断しますか?

それはもう偶然ではない

材料そのものに

製造段階で問題があった可能性を

疑うべき状況です

今回のブログでは

工場側で発生した いわゆるエラー製品

正確には

「ロット不良」と呼ばれるケースについて

実際に私が担当する現場で

発生した事例を元に

どこで違和感を感じ

どこで判断し

どう動くべきか

皆さんの現場で似たケースが発生した時

迷わないための判断基準として

こういう事も起こり得るのだという

注意喚起として

共有します

私の現場で起きたケースは

非常にわかりやすいものでした

石膏ボード内部に

10円玉ほどの大きな気泡が無数に発生し

部分的に石膏層がかなり薄い症状のものでした

断面を見れば異常性が伝わると思います

どこを割っても大きな気泡が出てくる

場所によっては

表面紙や裏面紙を触ると指が沈むほど

そんな状態の石膏ボードが

同ロットで何枚も続いて出てきました

私は即座に

該当ロットの石膏ボードを使用した

全作業をストップし

全作業員を集めて

同じ状態のボードがなかったかを

ヒアリングを行いました

「空洞の部分が多いなと思った」

「ビスを打つと深く沈む部分があった」

「持っただけで潰れる部分があった」

この時点で私は

数枚程度のエラー製品ではなく

ロット単位の不良の可能性を感じました

皆さんの現場で

同じようなケースが起きた時は

どうか迷わずに

強い決断を持って行動してほしい

どの段階で正しく判断できるか 

初動の姿勢をどれだけ早く取れるかで

損失の割合が大きく変わります

①作作業ストップ(該当範囲)

②自社の上長(職長・会社)へ報告

③現場監督(元請け)へ報告

④材料手配元(建材店・商社)へ連絡

⑤メーカーへ調査依頼

①該当ロットを使用した全作業をストップ

・全作業員を招集し 状況を共有

 ロット不良の疑いがあるため

 該当ロットの使用をストップする旨を伝える

・作業継続による危険性を周知する

  耐火性能の不足

 ビス保持力の低下

 損失割合の増減にも直結します

・可能であれば別作業へ割り振る

・ロット不良に該当する製品の記録をとる

 異常がわかりやすいように

 可能な限り複数の角度 状況で撮影する

 ボード裏のロット番号

 工場管理コードの写真も撮ること

 ストップ前に施工した箇所も

 ビスの沈み 強度不足を分かりやすく

 複数パターンで撮影

・余裕があれば動画にも残しておく

※この後の対応(②以降)で必ず使用するため

 記録は多いほど有利に働きます

 記録が少ない状態での報告は

 自社や監督の判断を遅らせるばかりか

 商社やメーカーとの連携も滞らせます

 徹底して記録を残しましょう

 それが後に会社と自分たちを守ってくれます

②自社への報告

・会社 または担当責任者へ

 記録した写真や動画を送信し

 該当ロットを使用した作業を

 ストップした旨をを報告する

・自社の他現場で同ロットの材料が

 使用されていないか

 また 同様の不具合が出ていないか

 ヒアリングを依頼する

・可能であれば④〜⑤を依頼する

※報告は「感覚」ではなく「事実」で行う

 ロット番号と記録をセットで報告し

 同ロットでの再現性を強調する

 曖昧な報告 感覚的な発言では

 作業を進めるよう指示される可能性があります

 デメリットベースで状況を明確に伝え

 自社にも責任が発生する可能性を

 正しく共有して下さい

③内装監督 現場所長への報告 

・②と同様

 該当ロットの使用ストップを報告し

 ロット不良の疑いがあることを明確に伝え

 記録していた画像 動画を共有する

 必要に応じて現地での検証をします

・作業継続によるリスクを具体的に説明する

 耐火性能不足の可能性

 ビス保持力不足による施工不良の可能性

 後の全面是正が必要となる可能性

 重大な責任問題へ発展する可能性

※準備不足な状態での報告では

 「とりあえず進めて」と判断されます

 止めなければ莫大な損失につながり

 止めれば最小限の被害に抑えられます

 このまま作業を進めれば

 重大な責任問題に発展する可能性があります

 この点を明確に伝えて下さい

④材料手配元(商社)への連絡

・納品書を元に状況を説明

 記録した画像 動画を送信し

 ロット番号と工場管理コードを伝える

 どのような不具合があるのかを

 具体的に共有する

・同ロットの流通範囲の確認

 同ロットの在庫の確認

 同ロットを納品した他現場への 

 ヒアリングを依頼します

※ロット不良かどうかは

「自分の現場だけの問題か」

「複数の現場で発生している問題か」で

 判断が大きく変わります

 重要なのは

 緊急性のある案件だと理解してもらう事

 商社側にはこのようなケースに対する

 対応フローが用意されています

 必要な情報を正確に伝えれば

 納品状況の確認

 在庫の確保

 メーカーへの報告

 ここまで迅速に対応してくれます

⑤メーカー対応

・商社を通じて

 メーカーへ調査を依頼する

 記録した画像 動画の提出をし

 該当製品の状態や症状

 現在の現場の状況を正確に伝える

・メーカー担当者による現地確認に対応し

 実際の状況をその場で説明 再現する

 メーカー側では以下の観点から

 調査が行われます

 製造工程での異常の有無

 原材料の問題の有無

 輸送 揚重 保管の影響

 施工条件の影響

※証拠が不十分な状態での主張や

 感情的な交渉

 原因特定前の断定的発言は

 協議段階で不利になる可能性があります

 再現性を明確に説明し

 記録の質と量を元に事実ベースで対応すること

 メーカー対応はゴールではなく

 現場 会社 仲間を守るための

 最終的な確認工程です

 初動で迅速に止め

 記録 共有した内容が

 全てここでの判断材料になります

各項目の役割

自分 職長

現場で被害を止める初動対応

会社

社内 同業者へ共有

自社の被害範囲の把握

現場監督 所長

現場としての正式な施工停止判断

商社

流通範囲の把握

流通を止めて被害拡大を防ぐ

メーカー

原因を特定し責任と対応を確定させる

各種SNSでの拡散に関するリスク

本件のようなロット不良に関する情報は

安易にSNSへ投稿するべきではありません

デメリットとして挙げられるのは

以下の通りです

・メーカーや商社との関係悪化

 名誉毀損や信用毀損と捉えられる可能性

 今後の対応や協力体制に影響する可能性

・契約上の問題

 現場や元請の許可なく情報公開した場合

 契約違反と見なされる可能性

 現場情報の流出として問題視される可能性

・責任問題の複雑化

 責任の所在が確定する前に情報が広がることで

 「一方的な発信」と捉えられる可能性

 協議結果や交渉が不利になる可能性

SNSは手軽に使える反面

一度発信した情報はコントロールできません

会社や仲間を守るためには

外部発信を控えるという判断も

重要な対応の一つです

費用に関する協議について

メーカー側が責任を認めた場合

一般的に対象となるのは

・該当ロット製品の代替品の提供

・不良材料分の返金

といった対応が取られるケースが多いです

ロット不良によって現場では

・貼ってしまったボードの解体撤去

・再施工(手間 人工)

・工期遅延による影響

・他業種への波及(電気設備 クロス等)

といったように

材料以外の損失が多く発生します

しかしこれらの費用は

自動的にメーカーが負担するものではありません

・運搬方法に問題がなかったか

・搬入や保管に問題がなかったか

・施工方法に問題がなかったか

・現場環境による影響はなかったか

これらを含めて

責任範囲の協議が行われます

費用の協議は「感覚」ではなく

証拠をもとに進みます

そのために必要なのは

・ロット番号の記録

・不良箇所の写真や動画

・施工状況の記録

・発生タイミングの整理

・複数枚の証拠

・複数人の証言

これらを揃えることで

ロット不良としての説得力が高まります

費用の問題は

「誰が悪いか」ではなく

「何が原因か」を証明できるかで決まります

そしてその判断は

現場の初動対応で決まります

・明確なロット不良と認定される

・施工や保管に問題がないと証明できる

・同ロットで他現場も同様の不具合が出ている

・記録(画像 動画 ロット番号)が揃っている

ここまで条件が揃えば

・手間賃の一部負担

・撤去費用の一部負担

・場合によっては全体補償

これが現実的な落とし所として見えてきます

石膏ボードの製造工場では数々の品質検査が行われ

それを通過した製品が我々の手元に届きます

しかし

定間隔サンプリング(キリ番抜取り検査)

というシステムの構造上

全ての製品を検査する事はできません

特に問題となるのが石膏ボード内部の異常

・内部の気泡

・局所的な硬度異常

・異物混入

これらは外観では判断できず

実際に現場で 触る 切る 打つ

といった作業をして

初めて発覚するケースがほとんどです

つまり

石膏ボード内部の異常を最終的に見抜けるのは

現場で施工する我々しかいません

我々は施工者であると同時に

材料の品質を見極める

「最終検査員」でもあります

見逃せば被害は広がり

気づけばそのすべてを止められる

その判断ができるのは

他でもない 現場に立つ我々です

今回のようなケースは

特殊なことなのかもしれません

しかし

どこの現場でも起こり得るリスクです

だからこそ

感覚ではなく現状で判断し

感情ではなく事実で動く

それが結果的に

自分たちを守ることに繋がります

このブログが

皆さんやその仲間たちを守る

その判断の一助になれば幸いです

本日も ご安全に

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